「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギー

小麦は成人の食物アレルギーの原因の中で、頻度の高いもののひとつです。特に運動で誘発される、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis; WDEIA)という形で発症する例が多く、全身に蕁麻疹がでます。

ところが、2009年頃から、このような全身性の膨疹を特徴とする小麦の運動誘発アナフィラキシーではなく、眼瞼の発赤・腫脹と顔面のかゆみ・発赤・蕁麻疹を見る女性の小麦アレルギー症例が多数報告され、それらが皆"茶のしずく石鹸"という加水分解コムギ成分を含有する洗顔石鹸を使用していることが分かりました。

その後の臨床的・血清学的な検討から、これらの非典型的な小麦アレルギー症例は、"茶のしずく石鹸"中の加水分解コムギ成分(グルパール19S)に対して過敏性を獲得しており、結果的に経口摂取した小麦成分に対しても過敏性を示している事が分かりました。

"茶のしずく石鹸"により発症した小麦アレルギー患者さんの症状は、眼瞼の発赤・腫脹、くしゃみ鼻水、顔面のかゆみや蕁麻疹など多彩な症状を示しますが、通常型のWDEIAは主要症状は全身に見られる蕁麻疹です。

多くの患者さんの報告があったため、この製品は自主回収され、現在は出回っていません。

重篤な患者さんが多数報告されたため、日本アレルギー学会は問題を重視し、ホームページでこの疾患の詳しい症状と診断基準を発表しています。

当院でも、日本アレルギー学会から、テスト液を分与して頂き、グルパール19Sによる小麦アレルギーの検査ができる体制となりました。

ご心配の方は、ご相談ください。