新しい治療薬(抗体医薬)

アトピー性皮膚炎に対する新しい治療薬、デュピクセント®について

アトピー性皮膚炎の治療薬として初めての生物学的製剤(抗体医薬)、デュピクセント®が保険適応されました。15歳以上の中等症~重症のアトピー性皮膚炎の方のための注射薬です。「IL-4」と「IL-13」という物質(サイトカイン:細胞同士の情報伝達を行うタンパク質)の働きを抑えることで、皮膚の2型炎症反応(Th2細胞による炎症)を抑制する新しいタイプのお薬です。アトピー性皮膚炎の皮膚の内部に起きている炎症反応を抑えることによって、かゆみなどの症状や皮膚症状を改善します。

治療の対象となる方

  • アトピー性皮膚炎の症状が中等度から重症の方
  • 通常の外用薬治療(ストロングクラス以上のステロイド外用薬やタクロリムス外用薬など)を6カ月以上行っても効果が不十分な方
  • 皮膚炎の状態に応じた外用剤を継続使用できる方(外用剤の併用が必要です)

デュピクセント®の治療方法

初回にデュピクセントを600mg(2本)、2回目以降は300mg(1本)を2週に1回皮下注射を行います。院内で最低2回の注射と自己注射の指導を受けて頂いた後は、注射薬の処方を受け自宅で自己注射することができます。自分で注射が苦手な方は、処方された注射を持参いただき、院内で注射することも可能です。治療開始後、16週を目安に続けます。

デュピクセント®は2ヵ月分(4バイアル)、最大3ヵ月分(6バイアルまで処方が可能となります。

デュピクセント®の治療費

デュピクセントペン薬剤費 1本あたり66,562円
3割負担の方 1本あたり19,969円(初回は2本:39,937円)

※別途、初再診料、処方箋料などがかかります

医療費助成制度

デュピクセント®による治療費は高額になります。患者さんの経済的な負担を軽減するために、さまざまな医療費助成制度がありますので、患者さんに手続きして頂いています。

高額療養費制度は、窓口で支払うべき額(自己負担額)が、一定の金額を超えることになった場合、自己負担額を一定額(自己負担上限額)にまでおさえることができる制度です。自己負担上限額は所得により異なります。その他、健康保険組合等の独自の付加給付制度などもありますので、詳しく説明されたパンフレットをお渡しています。

当院でのデュピクセント®導入について

導入前診察(注射は予約制です。即日の注射は行っておりません。)

6か月以上の外用薬治療が正しく行われていたかの確認

重症度の判定(IGAスコア、EASIスコア、病変面積の判定)

経過を判定するための採血や症状の写真を取らせていただく場合がございます。

初回(1回目) 院内で2本投与、自己注射指導
2週間後(2回目) 院内で1本投与、自己注射指導
4週間後(3回目) 自己注射分の薬剤を処方。2か月分(4本)、または3か月分(6本)の処方が可能です。在宅自己注射開始(2週間に1回ご自身で注射を行います)
自己注射分の薬剤処方日には指導料として診察費の他に下記の負担金が発生致します。
  在宅自己自己注射指導管理料  1950円(3割負担)
  導入初期加算         1750円(3割負担)

治療効果は個人差があり、1回目の注射後2週間で効果が認められる方もいます。多くの患者さんは16週までには治療反応が得られます。16週までに治療反応が得られない場合は投与中止も考慮いたします。治療は、痒みや湿疹の状態が改善し、良好な状態が得られてから、6か月間は治療の継続をお勧めしています。デュピクセント終了後も、良い状態を保つために外用療法を継続する必要があります。