アトアトピー性皮膚炎では、尋常性魚鱗癬という角化異常症が高率に見られます。
尋常性魚鱗癬は、主に四肢の外側(伸側)にうろこのようなカサカサ(鱗屑)が見られる疾患で、尋常性魚鱗癬の約50%にアトピー性皮膚炎を合併しているという報告があります。
本症はフィラグリン遺伝子(1q21)変異により発症する遺伝性疾患です。
フィラグリンはケラチン線維を凝集させることで角質の形成に働きますが、その分解産物が天然保湿因子として働くため、皮膚バリア機能の維持と保湿に重要な蛋白です。
フィラグリン産生が減少すると、皮膚バリア機能の破綻とドライスキンを呈することになります。
様々な解析から、フィラグリン遺伝子変異による皮膚バリア障害はアトピー性皮膚炎の重要な発症因子でもあることが示唆されています。
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患というよりは、最近は、皮膚バリアの障害によるバリア病と考えられています。