痒み(かゆみ)対策

アトピー性皮膚炎における痒みには、様々な要因が関与しています。なかでも、体質的に乾燥肌であるため痒みを感じやすい状態にあることが、もっとも大きな要因です。洗いすぎ、衣服の刺激、室内の乾燥などで痒みが増強するので、日常生活に注意してください。

又、皮膚の乾燥は、皮膚の感覚神経(C線維)を伸展させ角質直下まで侵入させます。
C線維は、サブスタンスPという痒みをおこす物質を放出します。
その為、通常は感じないような、わずかな刺激に過敏に反応して痒み感じると言われています。

掻き壊すと、皮膚のバリア機能が破壊されて新たに炎症が引き起こされ、さらに痒みが増強されるといった悪循環につながります。

この悪循環を断ち切ることがアトピー性皮膚炎の治療でもっとも重要です。

痒みを完全に抑制する薬剤は現段階ではありませんが、第二世代の抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)は、かなり痒み抑制効果があるので当院では、内服をお勧めしています。

又、痒みが伴っていない時にも、イライラやストレスで掻いてしまったり、無意識に皮膚を触って皮膚に刺激を与えていることも見られます。アトピー性皮膚炎の方の皮膚は大変敏感なので、刺激している間は、炎症は改善しません。このような無意識のクセがないか、毎日の生活を見直してみてください。

最近の研究では、ストレスにより、痒みをひきおこすヒスタミンやサブスタンスPという物質が誘導されると報告されています。好きな事に熱中したり、楽しい時間を過ごすのも、とても有効な痒み対策です。

なかでも、散歩がお勧めです。わたしの尊敬する皮膚科医は、「アトピーは歩いて治そう」と言っています。街中でも公園でも、散歩はいろいろ発見があって結構楽しめると思います。
是非、試してみてください。