陥入爪で皮膚科を受診される方が増加しています。刺し爪ともいいますが、爪の縁の部分が皮膚にくい込み、その刺激によって炎症、疼痛を起こしている状態を言います。これに細菌感染が加わって化膿したり、爪の周囲に傷(肉芽腫)ができて浸出液が出てきたりします。一度この状態になると、治り難く、皮膚科医泣かせの病気です。足の親ゆびに多いため、痛みが強くなると歩けないという状態になってしまいます。
女性に多く、これはハイヒールや幅の狭い靴で、親指に大きな負荷をかけているためです。サッカーなど、足の親指に過度の刺激が加わるスポーツをしている子供にも時々見られます。
陥入爪にならない為に、爪の切り方に注意しましょう。爪を切る時に、爪の両端を丸く切り込む方が多いですが、丸く切り込むと爪の縁が皮膚にくい込んできます。爪が伸びてくると、先端部が皮膚に刺さり込む状態となり、炎症が起こります。これが陥入爪の初期の状態です。爪は角を落とさず、四角い形に切るようにしましょう。この形ですと、爪が食い込まないので陥入爪になりません。
深爪もお勧めできません。深爪によって爪の長さが減少すると、爪が埋没し陥入爪の原因となります。足の爪は歩行によって、下から上へ突き上げる圧力が加わるので、爪に一定の長さがないと、この圧力のため爪の周囲の皮膚が盛り上がってきます。爪は深爪しないで、ゆびの先端に合わせて切りましょう。爪は歩行や運動において重要な働きをしています。お子さんのいらっしゃる家庭では、正しい爪の切り方を是非教えてあげてください。
化膿している場合は抗生剤の内服、外用が行われます。炎症が強い場合、食い込んでいる爪を一部切ることもありますが効果は一時なものです。爪が伸びると再発することが多いので、治療として、爪の縁にガーゼをつめたり、テーピングにより爪の縁が食い込まないような対策をとって爪が伸びるのを待ちます。爪をゆびの先端まで伸ばすと治ります。
爪が強く湾曲して、痛みを伴うことがあります(巻き爪)。爪はもともと巻く性質があります。歩く時に地面から上向きの力が加わることで爪を平に保っています。足の指をしっかり使って歩くことが、爪の変形の予防になります。
足に合った無理のない靴で、足の指を使って歩くこと、そして正しい爪の切り方で巻き爪、陥入爪を予防しましょう。