男性型脱毛・薄毛

男性型脱毛は、AGA(androgenic alopecia)とよばれている。AGAには遺伝的、環境的な種々の要素が関わっていと考えられている。

男性のほとんどは、早かれ、遅かれAGAになるが、20代、30代で薄くなることもある。

AGAの誘因として、男性ホルモン、特にジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone, DHT)が関与している。このジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、毛髪が退行期または休止期に移行して抜けやすくなる。

頭頂部や、おでこの生え際の毛には、この酵素が多く存在するため薄毛になりやすく、側頭部や後頭部には少ないので薄毛になりにくい。

5α還元酵素の働きを抑えるは、フィナステリド(商品名プロペシア)という内服薬が使われる。

フィナステリドは、脱毛の進行を抑制する薬剤なので、短期間では効果は実感できない。効果は通常、3カ月で現れるが、個人差が大きい。本人が実感するのは、6カ月ほどたってからの事が多いので、6カ月の内服をおすすめしている。

健康保険は適応されていないので、自費診療となる。ジェネリックの製品も発売されているので、当院では、1カ月分4000円から数種類用意している。

5α-還元酵素には、I型とII型がある。フィナステリド(プロペシア)は、5α-還元酵素のI型のみを阻害する薬剤。それに対して、あらたに、5α-還元酵素のI型とII型の両方を阻害する、デュタステリドが発売された。

1型、Ⅱ型の両方を阻害する、デュタステリドは、ジヒドロテストステロンの生成を強力に抑制し、AGAの治療により高い効果を発揮すると報告されている。

当院では、最初に発売されたデュタステリドのザガーロ(商品名)1カ月分、9000円と、その後発売されたジェネリック商品、1ヵ月分7000円を用意している。

二種類の薬剤ともに、 一日一錠の内服薬で、重い副作用は報告されていない。まれに性欲減退がみられることもあるが、服薬を中止すれば元にもどる。