ニキビ(ざ瘡)の治療

  1. 思春期のニキビ
  2. ニキビは毛包がつまって、皮脂が皮膚表面に排出されず、毛包に炎症が起こったものです。皮脂の分泌増加と毛包開口部の角質増加が主な原因ですが、どちらも遺伝的要因(体質)の関与が大きいため、気長に治療する必要があります。

    ニキビは思春期の悩みと考えられがちですが、年齢に関係なく広い年齢層に見られます。十代のニキビは、主にアンドロジェンの影響で皮脂の分泌が増加し、毛包に皮脂が貯留します。皮膚の常在菌であるアクネ菌が毛包内で増殖すると遊離脂肪酸が増加し、白血球が浸潤して炎症が起こり紅いニキビになります(炎症性ざ瘡)。炎症性ざ瘡にたいしては、抗菌剤の外用や、内服が必要になります。

    治療は、毛包のつまり(コメド)を起こさないことが基本です。 海外では20年前からニキビに使われていたアダパレンが2008年から保険適応になりました(商品名ディフェリン)。毛包の角化を抑えて、ニキビを予防する効果があります。

    2015年からは、海外では最も一般的に使用されている過酸化ベンゾイルが保険適応になりました(商品名ベピオ)。この薬剤は抗菌作用と剥離剥離作用とがあります。最近、過酸化ベンゾイルに抗菌剤(クリンダマイシン)が配合された塗り薬(商品名デュアック)も発売され治療の選択肢が増えました。

    これらの治療薬は、かなり効果がありますが、皮膚がカサカサしたり、紅くなるなどの副作用も時に見られ、使い方にコツがあります。紅くなったり、ヒリヒリする時は使用を一時止めて、症状が治まってから、少しづつ使ってください。処方時に詳しく説明します。

    ニキビを悪化させてしまうと、瘢痕が残ることがあります。ニキビの痕が凹んだり瘢痕(引きつれ)になると、元の皮膚にはもどりません。瘢痕を残さないように、早期からの治療をおすすめします。

  3. おとなのニキビ

    思春期のニキビは二十代になると消えることが多いのですが、なかには三十代になってからニキビが出る方もいます。思春期にニキビで悩んだ方だけでなく、これまであまり出なかった方が、三十代以降にできる事もあります。思春期のにきびが、額や鼻に好発するのに比べ、おとなのニキビは、口の周りにできやすいのが特徴です。

    おとなのニキビは女性に多いですが、長時間の化粧や喫煙、仕事のストレス、日常生活の乱れが、誘因と考えられています。

  4. 治療としては、アダパレンや過酸化ベンゾイル、抗菌剤の塗り薬や内服、ビタミンB剤剤の内服が行われます。漢方薬も効果があります。生理不順や生理痛がひどい場合はピルが有効なことがありますので、婦人科の専門医へ紹介しています。

    ニキビ後の紅み(紅斑)は、なかなか取れません。ビタミンCローション外用やビタミンCの導入が有効です。

    フルーツ酸やサリチル酸などのピーリング剤が入った石鹸・化粧水も有効です。このようなホームピーリング製品を普段のスキンケアとして使うと、ニキビを予防する事ができます。