ざ瘡の重症型

ニキビ(ざ瘡)の始まりは、毛穴のつまり(面皰)である。面皰は白面皰または黒面皰として出現する。白面皰(閉鎖面皰)は皮膚色または白っぽい小さな丘疹である。黒面皰(開放面皰)は白面皰と外観は似ているが、毛穴が中心に黒点として見える。

この面皰に炎症がおこると、毛包の壁(上皮)に好中球,次いでリンパ球が浸潤し、上皮は傷害される。上皮が破れれば,面皰内容は真皮で強い炎症反応を惹起する。

比較的深部の炎症は紅い丘疹となり、時に疼痛を伴う。浅い部位に白血球が集積したものは膿疱となる。

面皰が深く大きいと、丘疹よりも大きくて深い充実性の病変となり結節となる。炎症を来した表皮嚢腫に似た病変となり、嚢胞性ざ瘡と呼ばれる。

嚢胞性ざ瘡はときに感染を起こして、疼痛を伴い膿瘍を形成する。嚢胞性ざ瘡が長期に続くと瘢痕化を来すことがあり,その症状は,小さくて深い掘れ込み("アイスピック瘢痕")や、皮膚の陥凹,肥厚性瘢痕を残す。

重大な身体症状は引き起こさないが,瘢痕を残すので相当な精神的苦痛をもたらすことがある。

集簇性ざ瘡はざ瘡の最も重症な病型で,女性よりも男性に多い。患者には,膿瘍,排膿性の瘻孔、ケロイド様瘢痕、萎縮性瘢痕が生じる。
背部および胸部が高度に侵され、鼠蹊部、腋下、腹部,殿部,さらには頭皮まで侵され、膿皮症となることがある。

治療として抗生物質の内服が行われるが、慢性の経過をとる。当院では、重症のざ瘡には、積極的に漢方薬を使用している。

電撃性ざ瘡は急激に発熱を伴って発症する潰瘍性の集簇性ざ瘡で,本邦ではまれな疾患とされている。突然融合した膿瘍が出現し出血性壊死に至るのが特徴である。白血球増多,関節痛,関節腫脹も生じる。